◎ 死因贈与とは?



「死因贈与」 と 「遺 贈」 どう使う?



◆ 死因贈与とは ?
  贈与者の死亡により、その契約の効力が生じる贈与契約



両者の
相異点
遺  贈 遺言による贈与(※)で一方的な意思の表示
 遺言者の死亡後、いつでも放棄できる
 各相続人間で遺言とは 異なる遺産分割が可能
遺言書は一定の厳格
な方式により作成
死因贈与 贈与者と受贈者双方の合意契約が必要
 合意契約の為、放棄できない
 確実に財産を移転できる
決まった形式がなく
代理人でも作成可


(※) 「遺言書」上での遺言(文言)の違い ⇒ 名義変更手続き等
遺言書の文言名義変更手続き登録免許税
「相続させる」 単独で所有権移転手続きの申請が可
 相続人に限定される
1000分の2
「遺贈する」 相続人全員ないし遺言執行者と共同による
 所有権移転手続きの申請が必要
1000分の10
(※)
(※)平成15年4月1日以後の登記から、相続人に対する遺贈は <1000分の2>
と改正され、文言の違いによる差はなくなりました。


遺言は取消し可能(単独行為)で、受遺者は 『遺贈の放棄』 もできます。(受遺者である相続人は『遺贈の放棄』をした後、相続人間で分割協議をして相続財産の取得も可能)

遺 贈包括遺贈 一定割合の財産を対象とするもの
特定遺贈 特定の財産を対象とするもの

★ 『停止条件付遺贈』 の場合の相続税の計算 (→)

一方、書面による死因贈与契約は相手があり取り消せるかどうか ⇒ 取消し自由という切り札を持っておきたいのなら 「遺言」 が無難です。



● 死因贈与契約書 < 例 >

死因贈与契約書



  贈与者〇〇〇(以下、甲という)と受贈者△△△(以下、乙という)は、
 次のとおり死因贈与契約を締結した。

 第1条 甲は、その所有する下記の物件を乙に贈与することを約し、乙はこれ
  を受諾した。
      大阪市◇◇◇区□□□町〇〇〇町〇丁目〇番〇号
       地目:宅地   地積:〇〇平方メートル

 第2条 第1条の贈与は、甲の死亡によって効力を生じ、贈与物件の所有権は
  その時に乙に移転するものとする

 第3条 甲は、前記贈与物件につき、乙のために、平成××年××月××日
  までに所有権移転請求権保全の仮登記手続をする。






  上記契約を証するため、この契約書2通を作成し、甲乙各自1通を所持するものとする。

   平成〇〇年〇〇月〇〇日

大阪市◇◇◇区〇〇〇町〇町目〇番〇号  

贈与者 (甲) □ □ □ □  印  

大阪市◇◇◇区×××町〇町目〇番〇号  

受贈者 (乙) △ △ △ △  印  


    
☆★☆ 上記契約書を作成した時点では効力は発生せず、所有権の移転登記ができない
ので、その契約を確実なものとする為には公証役場で確定日付をとっておくのがよい。




◆ 死因贈与契約のポイント


(1) 「死因贈与」は、贈与契約ですが、財産の移転に関しては 贈与税ではなく「遺贈」と同じく相続税の課税対象となる

(2) 「死因贈与」契約での財産の移転には、不動産取得税が課税される(通常の相続や遺贈(包括遺贈及び相続人に対する遺贈を含む)による移転の場合は、不動産取得税はかからない<非課税>)

(3) 登録免許税についても、「死因贈与」 の方が高くなる場合があります


(※)死因贈与は、上記の通り 相続や遺贈に比して不動産取得税・登録免許税
の負担が大きくなる場合があり、利用に当たっては注意が必要です。




◆ どんな場合に使える? 「死因贈与契約」


  • 遺産の額が、基礎控除額以下で相続税はかからないが、相続人ではなく
    兄弟間で使用貸借中の不動産について、兄弟間の贈与をしたい場合等

  • (@) 生前中に贈与すれば、「贈与税」 が課税される
    (A) 生前中に譲渡すれば、「譲渡所得税」 が課税される など
       の為、生前に死因贈与契約を結んでおくといいでしょう

    死因贈与契約書


    ≪物件贈与に戻る≫  ≪遺留分に戻る≫  ≪財産に戻る≫


    死因贈与契約は、生存中の贈与であれば 贈与税がかかり、譲渡すれば 譲渡所得税が課税される等の為、
    相続税がかからないくらいの遺産額の場合に、相続までその財産の法的移転を延ばすという場合に有効です。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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